Vol.23
2018年03月22日


21歳の秋 祖父が入院した。
それまで家族は病院に縁がなかったので やはり病院慣れしているわたしが適任だとおだてられ、祖父の介護人はわたしになった。

祖父の病気は治る見込みもなく、苦痛を軽減する治療が始まった。免許を取ったばかりのわたしが祖父の介護のため 週に数回、片道一時間の道のりを通った。

親の死に目に会うのは 今どき珍しい。
母親と叔母は 二人とも 祖父が他界したときに付き添っていた。死に際は 大きく深呼吸をして そのまま息を引き取ったそうだ。

幼少期から 人の死を目の当たりにしていると命の尊さや重みを忘れてしまう。

人の死に慣れるのは怖いものだ。

祖父が他界した春は、実家の桜が満開に咲いていた。
まるで島道鉱泉に貢献したことを祝福していたかのように、そしてこの世に存在がなくなることを惜しむように。

祖父の他界からまもなく  わたしは実家から隣街の上越市で引っ越し働き始めた。
いつでも家業の手伝いができる場所にいようと思っていたからだ。

今日も 朝日を浴び 気になることを行動する。
動ける身体があり 考える頭脳があり 一人前の人間的な感情に浸る。

にんげんごとで、考えすぎないように
にんげんごとで、片付けないように
にんげんごとで、囚われないように
にんげんごとで、惑わされないように

今日も 与えられたことを素直に受け入れ 感謝を忘れず 正直なじぶんの気持ちのままに動こう。

今日も何事もなく過ごせたことに
与えられた全ての環境に感謝なのだ。

 

キラキラはるみ