Vol.6
2018年03月05日


毎日 右の頬っぺたばかり 叩かれていたら そのうち まわりから、気づかれたら また、ピンタの刑が 長引くじゃん

へんてこりんな理由で ピンタの数を増やしてくる 闇がかりな 同室の彼女

そのうち、めんどくさくなり たまには、左も 叩けばいいじゃんと 掛け合ってみたら 生意気だ!!と 思い切り 叩かれた~

『今までで、一番痛かったじゃん!!』と、心の中で 叫んだ。

次の朝、わたしの右の頬っぺたは、腫れ上がり 口の中が、切れたから 痛みと食欲不振で、憂鬱だった

不調なわたしを 見た、同じテーブルの4つ上の先輩が 『はるみちゃん、どうしたの?』と聞いてきた

『なんでもないです。。。』

食堂の席の斜め前に座る 闇がかりな 彼女は、いつものように 睨み付けていた

『あぁ~また 明日の朝 ピンタの回数、増えるじゃん 関わらないでほしいよなぁ~ しかも、どうしたの?って 言えるわけないじゃん ほんとのこと言ったら 大事になるじゃん』と 心の中で 呟く

わたしに 声をかけてくれた彼女は 4つ年上の小児科のお局様的存在。強い眼差しと正義感を持ち合わせている彼女は まるで女神様のようで、いつも わたしを気にしてくれている優しい人だった だから 尚更、言えない 大事になりたくないし、、、 看護婦長にも、目を付けられてるし(笑)

でも、その女神様は わたしの陰気臭い態度を見逃さず 『誰がに 叩かれたんでしょ? 同室のヤツだね!! 』と いとも簡単に 突き止めた

『あっ いっ うっ えっ おっ』戸惑いと驚きが入り交じり 唐突な 女神様の言葉に 何とか、答えようとしたけど 何とも言えない気持ちが 先走り わたしは、黙った どんな風な 言葉も 言い訳や 嘘に 聞こえそうで ただ、黙っていた

『みんなを集めて~ 臨時自治会開くよ~ 真実を追究するよ!!』の一言で 30分後に 4つ年上の先輩の部屋に 関係者が 集められた

4つ年上の先輩は、6人部屋だった 同室の子や 自治会メンバー さりげなく 遊びに来たふりをしている野次馬も含めて はっきりした人数は うろ覚えだか、たくさん人がいるなぁ~ 15人以上の面子が集まっていた

闇がかりの彼女を含む 手下の面々は みんな 床に正座をしていた わたしは 先輩と ベッドの上に ふたりで座っていたが、何だか とても緊張していた

自治会の審判の時が 下されようとしたときの 気持ちは いまでも記憶している

臨時自治会の課題は わたしの腫れ上がった頬っぺたについて

『いじめていたなら、同じことを、されるのを覚悟していたんだろうね!! はるみちゃんが、数ヵ月も されていた分 お返しするから、覚悟しなさい!!』と、先輩が 言ってくれた途端、

『これで、解放されたぁ~全てが終わったんだなぁ~真実が明かされる~』と思った瞬間 ただ、泣けてきて 泣けてきて 涙が ぽとっ ぽとっ ぼと、ぼと、 溢れてきて 止まらなかった

誰にも言えなかったけど 本当は とてもくやしくて 悲しくて 痛くて 切なくて、、、ムカついて 何回も 殴り返してやろう!!と思ったけど、まて、まて、そんなことしても 終わらないし 病気を治しに入院してるのに、殴りあいは 不味いだろうと

でも 今のままじゃ 終わらない。
今の現実は ずっと続かない。
必ず わたしは 生きて家に帰るんだ!!

変に真面目で 冷静な自分と 向き合いながら いつか絶対 楽になる!!と その想いだけで 我慢した

自治会長の女神様は、わたしに、叩き返せと言っていたが、わたしは、首を横に振り

『叩いた人も悪いけど、叩くのには、いろんな理由があると思うから、叩き返すなんて出来ないです。』

『叩かれる最初の頃は、なんで わたしが?と思ったけど 叩きたくなる気持ちは判ります。病気と闘ってる私達は、辛い治療や 悲しみや切なさがあるから、誰かに八つ当たりしたい気持ち 解ります。』

『だからって、はるみちゃんを叩いていいなんて、悪いことだから、そんなの関係なく 叩きなさい!!はるみちゃんが やれないなら、わたしが 代わりに やってやるよ!!』

『でも、もし ここで お返しに わたしが、 叩き返して 気が済むかと言われたら 気がすまない。 今 ここで、仕返ししても、 辛くて 切なくて 痛かった過去は 戻せないし もしここで、叩いたら 申し訳ない気持ちが 出るから わたしは、叩くことも 殴ることも、今さら 文句を言う気持ちもありません』

『叩いたら 同じ罪 悪いことだから わたしは 叩くことで返したくない。その代わり もう他の人をいじめないで欲しい。他の人に、意地悪しないでほしい。わたしみたいな気持ちにさせないで欲しい。ただ、それだけです。
先輩が わたしの怪我に気づいてくれて、審判してくれただけで、とっても嬉しいし もう ピンタの刑が終わると思うと 毎朝のストレスがなくなるのが、助かり。これで、安心して寝れます。』

最初は、泣きながら 訴えたはじめたわたしの傷ついていた心の叫びは 話が終わる頃には 安堵感で 満たされた

闇がかりな人達は、リンチもされず 叩かれもせず 無罪放免 その事実を 看護婦長に報告していた女神様に、思わず手を合わせた

そのお陰で すぐ部屋換えになり わたしは 大部屋に移った

そのときの自治会を開いてくれた 女神様は 『晴美』という名前だった

あの頃のわたしと、今のわたしの価値観 思考は 全然 変わってない

ほんものの 愛と勇気と正義をもち
、行動していれば 必ず どこかの誰か どこかの存在は 見ていてくれて 必ず 光を照らし 救ってくれるんだ

あのとき、反対側の頬っぺたも叩いてくれ!!って闇がかりな彼女に言わなければ 大部屋に移り 安心して 闘病生活を送れなかった

毎日のブログ更新の内容をみていた妹

『わたしが、はるみさんだったら 耐えれない』 と、泣いていた なんとまぁ弱い人でしょ(笑)

『乗り越えれる人に 与えられることだから、わたしと重ねたら ダメだよ(笑) わたし 病気は 関係なく やっぱり強いんだよね(笑) その代わり いいことも たくさんあるから ありがたいよね いい人 まわりにいてくれるし 幸せだよね!!』

今日も、泣きながら、笑い合える人がいる

今日も、傍にいてくれる人がいる

今日も、ありがたいなぁと感じれて 良かった

キラキラはるみ